個人再生の際は、税金の滞納にも気をつけて!
債務整理の手続きをしていると、やはり借金の方に意識が行きがち。でも、税金の滞納という問題を同時に抱えている方も、実は結構多いものです。
取り立ての恐怖などから、つい借金を優先しがちなイメージがありますが、税金の方もしっかり対応しておかないと、中長期的な生活の立て直しは困難になります。
今回は、税金と借金の性質の違いに着目しながら、税金滞納にどう対応するかを考えてみようと思います。今回のテーマは、特に小規模個人再生を検討している方には影響が大きい話になるかと思います。税金は特殊な債権!
そもそもの債権管理の話になるのですが、債権には大きく
- 公債権
- 私債権
の2種類があります。
公債権とは何かというと、公法上の原因によって発生する債権のことで、一方で私債権というのは、私法上の原因(要は契約)に基づいて発生する債権のこと。
さらに公債権は、
- 強制徴収公債権
- 非強制徴収公債権
の2種類に分かれます。
「強制徴収公債権」は、公債権のうち、個々の法律によって強制徴収の手続きが規定されているもので、その代表的なものが、国税・地方税といった税金です。
一方の「非強制徴収公債権」は、公債権ではありますが、国や自治体が一方的に強制徴収を行うことができず、私債権と同様に、回収に当たっては裁判の手続きが必要となります。
これは、いわゆる「自力救済禁止の原則」というやつですね。要は「自分で債権を回収しにいこうとすると、暴力的な手法に出たりする人が出たりして危ないから」ということで、債権の回収にあたっては、法的な手続きを踏みましょうね、ということになっています。
そうした中、国税・地方税のような税金については、そのお金が市民サービスに広く使われるということ、そして何より、税金そのものが法律に基づいて課されており、それを集めるのも公的な機関であるということで、例外的に、裁判手続きを得ることなく、自らの判断で債権の回収をすることができるようになっています。これを「自力執行権」といいます。
もちろん、国・自治体の債権すべてにこうした権限が付与されているものではなく、たとえば税金であれば国税徴収法といったように、個別の法律に基づいて、これらの自力執行権は付与されています。
逆にいうと、たとえば市営住宅・府営・県営住宅の家賃などは、債権回収についての個別の規定がありませんから、もし踏み倒されそうになったら、普通に裁判をしないといけない、ということになっているのです。
まとめると、こんな感じでしょうか。
○公債権…公法上の原因によって発生する債権
・強制徴収公債権…回収に際して国や自治体がいきなり差押えをできる債権(税など)
・非強制徴収公債権…回収に際しては私債権と同様の手続きが必要
○私債権…私法上の原因によって発生する債権。回収には裁判の手続きが必要(公営住宅家賃など)
なお、この「税金」についても、一言でまとめてしまいましたが、納め先として、国に収める「国税」と、都道府県や市町村に納める「地方税」があります。
一般的なサラリーマンの場合でしたら、毎年のお付き合いがありそうな税というと、
- 国税:所得税
- 道府県税:自動車税
- 市町村税:住民税、固定資産税、軽自動車税
あたりになるでしょうか。なお、ビジネスを営まれている方の場合、消費税・地方消費税や事業税なども出てくるかもしれませんね。
少し難しい話になってしまいましたが、この税金という債権の特殊性に注目しておくことが、税金滞納における対応の方法を見誤らないようにするための第一歩になるかと思います。
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税金を滞納することが危険な2つの理由
さて、このような予備知識を前提に、税金の滞納について検討をしてみることにします。
税金を滞納するとどうなるか。
まず、納期を過ぎて20日が経過すると、督促状が届きます。その後、定期的に催告状が届いたり、場合によっては電話がかかってきたりすることもあるでしょう。
このあたりは、通常の借金返済の滞納と変わらないか、あるいは催告・督促の頻度が借金の返済ほど高くないので、「あれっ、ひょっとして、こちらは逃げ切れるんじゃない?」というような思いを持ってしまうかもしれません。
でも、その発想、実は結構危険です。なぜでしょうか。
ここでは、2つの理由が考えられます。
【理由1】自力執行権…予告なしの差押え!
まず一つ、税金は「強制徴収公債権」であるので、債権者たる国や自治体が、先に説明した「自力執行権」を有していること。
自力執行権とは何か? そう、少し上にも書きましたが、「裁判手続きを得ることなく、自らの判断で債権の回収をすることができる」権利です。
つまり…一般的な借金とは違い、裁判の手続きを得ることなく、自分たちの判断で、差押えに着手できてしまう、ということなのです。
差押えをされてしまうと、たとえば給与差押えであれば、勤務先の人事・給与担当課に、借金の存在も含めて月々の家計管理に問題があることが知られてしまいますし、人事評価などで冷遇を受けてしまう可能性もあります。そして、給与の一部が召し上げられる格好になるので、債務整理中の家計立て直しにもダメージとなること間違いなしです。
このほか、税金の差押えでは、「預金の差押え」「不動産の差押え」「自動車などの動産の差押え」などが行われます。たとえば、ヤフオクの官公庁オークションでは、国税局や都道府県・市町村が差押えをした動産・不動産の公売が行われています。
このほか、もし消費者金融への過払い金がある場合、この過払い金請求権を差押えして、国や自治体が消費者金融相手に訴訟を起こし、過払い金を回収して税金に充てる、なんていう高度な手法をとることもあるようです。(ちなみにこの場合、過払い金が多額であれば、税金に充てたあとの残額は自分の手元に戻ってきたりもしますが…最近は過払い金が多額になるケースもあまり多くないかもしれませんね)
一般的な債権であれば、差押えに先立って裁判の手続きがあるので、この裁判が終わるまでの間に、差押えを回避するための手段をとることができるのですが、税金の場合、事前予告なく、もちろんこちらの同意もなく、一方的に差押えをすることできるので、実は「何かあったときの傷が深い」のは、むしろこの税金の方だったりするのです。
ちなみに、ネットの口コミ等を見ていると、差押えなどの滞納処分を打たれてしまうのは、
- 金額が大きい
- 年度を超えて滞納を継続させてしまった
- 固定資産税のように、税と差押え財産がセット
というパターンが多いようです。なお、自動車税も「税と差押え財産がセット」な税金ですが、こちらは滞納があると車検が受けられないため、滞納が長期化しにくく、自動車税の滞納だけで差押えをされたという話は、現実としてはあまり聞きません。
【理由2】滞納税は個人再生の対象外!
次に、もう1つ、債務整理をする上で滞納税の取扱いに注意しないといけないのは、「滞納税は個人再生の対象外」ということです。
ざっくり言うと、
- 個人再生の申し立てをしても、税金は引き続き支払わなければならない
- 個人再生の計画が認可されても、税金については減額がなされない
ということなのです。
この背景には、少し法的な話になりますが、国税徴収法、地方税法において、それぞれ、税金が他の債権に優先して徴収される旨の規定があります。
少し条文を見てみましょう。
<国税徴収法>
(国税優先の原則)
第八条 国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。
<地方税法>
(地方税優先の原則)
第十四条 地方団体の徴収金は、納税者又は特別徴収義務者の総財産について、本節に別段の定がある場合を除き、すべての公課(滞納処分の例により徴収することができる債権に限り、かつ、地方団体の徴収金並びに国税及びその滞納処分費(以下本章において「国税」という。)を除く。以下本章において同じ。)その他の債権に先だつて徴収する。
つまり、「法的な債権の強さランキング」みたいなものをつけてみると、「1位:国税」「2位:地方税」というふうに、税金は圧倒的な強さを誇っているわけなのです。
滞納を放っておくと突然差押えを食らってしまうおそれがある上、個人再生での減額対象にもならない。税金の滞納をいかにうまく処理するかも、多重債務から人生を立て直す上で、非常に重要なポイントなのです。
ちなみに、ここでは個人再生を中心に見ていますが、自己破産の手続きにおいても、これらは概ね同様です。
意外と(?)親切…税金滞納はすぐに役所へ相談を!
これまで見てきたように、税金は債権ランキングの中でも上位に位置し、そう簡単に減額やお目こぼしがなされるものではありません。
では、どう処理するかというと、最終的には「全額を完納する」以外の手はありません。
とはいえ、借金の返済に追われている中、税金を全額完納する余裕というのは、やはり通常、なかなかないでしょう。
そういうときは、素直に税務署や都道府県・市町村の税務担当課に「税金の滞納があり、払いたい気持ちはあるが、払えなくて困っている」と相談をしてみましょう。この手の相談は、多重債務の人に限らず一般的によくある話なので、相手もマニュアルどおりに、分納相談に応じてくれるのが一般的です。
そして、役所の人間は、滞納者を脅かすことが仕事ではなく、税金をきちんと納めてもらうことが仕事。
もっといえば、「国民・市民の生活を守ることが仕事」なので、自治体にもよりますが、本当に困っている人がいれば、役所の福祉部門にあるセーフティネット…たとえば生活保護や生活困窮者支援、多重債務相談などを通じた生活支援などをしてくれる場合もあるほどなのです。
税金滞納の解消の道筋をつけておくことは、個人再生を進める場合、計画の認可の判断に及ぶ場合もありますし、何より自分自身の生活を立て直すためにも重要です。
滞納が残っている場合は、怖がらず、速やかに役所に相談してみましょう。その方が、かえって話がスムーズに進み、債務整理の方にも好影響が出てきますよ。
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