銀行系カードローンは口座凍結に要注意！債務整理の前にチェックしよう
これまで見てきたように、債務整理には、大きく
- 任意整理
- 小規模個人再生
- 自己破産
の3つがありますが、これらはいずれも基本的に弁護士や司法書士に依頼して手続きを進めます。
そして、そのときに発せられる「受任通知」が、いわば債権者からのバリアとして機能して、直接の督促・取り立てから生活を守ることができるというのは、これまで説明してきたとおりです。
今回は、債務整理を依頼する…つまり、受任通知を発する際に注意しなければならないことです。
口座つき銀行カードローンは気をつけて！
これは特に、整理対象とする借金の中に、口座とセットになった銀行カードローンがある場合、注意が必要です。
それは、受任通知を受け取ると、通常、その時点で口座が凍結されること。
銀行の立場に立つと、受任通知を受け取るということは、今後、借金の返済が止まってしまうことになります。なので、そうなる前に、なんとかして債権を保全しなければなりません。
そこで、もし債務者がカードローンの銀行で口座を有しており、かつその口座に残高がある状態で銀行が受任通知を受け取ると、銀行はその口座を凍結して、残高のお金を引き出せなくしてしまうのです
銀行への預金は、民法的な目でみると、「こちらからの銀行に対する債権」になります。で、この債権と、借金…すなわちこちらの債務とを相殺しにかかる、というメカニズムなわけです。
要は「預金と借金を相殺する手続きをとる」ってことですね。
いくら借金でクビが回らない状態といえども、例月の資金繰りの中で、銀行口座に一定程度の預金があることは普通によくある話。これが引き出せなくなってしまっては、非常に困ります。
生活を守るために行う債務整理なので、この預金については、今後の生活のためにしっかり確保しておかなければなりません。
債務整理対象の銀行からは預金をすべて引き出す！
さて、そのような状況にならないために、どのように対応すれば良いのか。でも、これは、ごくごく簡単です。それは、
債務整理対象銀行の口座からお金を全額引き出して、債務のない銀行の口座へ移し替えること
そう、これだけです。
受任通知を銀行が受け取って、「もう借金が返って来ない」となってしまうより先に、銀行のお金を全額下ろしてしまえば、口座が凍結されても、何の問題もないわけです。
で、借金のない別銀行の口座に、そのお金を移し替えてしまうわけですね。
なお、移し替えの方法は、現金をATMで動かしても、振込の形で処理しても、どちらでも差し支えはありません。
同じ銀行の別支店もダメ！口座が必要なら、借入のない別銀行で！
その際の注意事項が1点。
債務の有無は、支店単位ではなく銀行単位で判断するので、「支店が違えばオッケー」にはなりません。必ず「別の銀行」で口座を作ってください。
たとえば、三井住友銀行A支店で開設した口座とセットのカードローンを債務整理する場合、三井住友銀行B支店の口座に現金を移し替えても、最終的には銀行内で名寄せされ、A支店とB支店、まとめて凍結されます。
もし、ローンなしの口座がなければ、どこか別の銀行で新規の口座を作りましょう。それなりの多重債務があっても、どこかしらには、一切取引のない銀行があるはずです。
特にメインバンクは要注意！
ただし、メインバンクでカードローンを借りている場合は要注意！いくつか、注意しないといけない点があります。
給与振込口座を速やかに変更！
特にメインバンクの借金を債務整理する場合、これが一番大事です。
もし口座凍結後に給与が振り込まれてしまうと、当月の給与が全部凍結されて、悲惨なことになってしまいます。
債務整理の事前準備として、必ず事前に、給与振込口座を別銀行に変更しておきましょう。これは非常に重要なので、債務整理を進める前に、必ず処理しておいてくださいね！
余力があれば、各種口座振替も別口座への移行を
また、メインバンクの口座の場合、電気・ガスや携帯電話など、さまざまな月々の支払の口座振替がなされているかと思います。
これらについても、メインバンクが凍結されてしまうと、月々の支払ができなくなってしまうことから、変更手続きをかけておくことが必要です。
ただし、これらについては、いずれはやらないといけないことですが、給与口座に比べると優先順位は低いと言えるでしょう。
仮に口座変更が間に合わない場合、電話で「諸般の事情で口座が使えなくなった」などと説明すれば、口座切り替えができるまでの間はコンビニ払いなどで対応してくれます。
とはいえ、電気・ガスなどについては、口座切り替えのことを忘れて、かつ自宅に届いた振替不能通知をずっと放っておくと、止められてしまって日常生活に支障が出ることもあり得ます。
すぐには処理しなくて良いですが、日常生活を維持するために、どこかのタイミングで忘れずに対応しておきましょう。
まとめ
このように、銀行系カードローンを整理する場合は、銀行口座の取扱いに十分注意しなければなりません。
繰り返しになりますが、給与振込口座のある銀行でカードローンを借りている場合は、立ち振る舞いを間違えると、給料が全額凍結されてしまうなど、大変なことになってしまいます。
このあたりの準備は、受任通知の発出に先立って行っておく必要があります。
もちろん、債務整理の相談に弁護士等のところへ行った際に、このあたりの助言もしてもらえるとは思いますが、早めに受任通知を出して債権者への支払を止めたい場合、弁護士への相談に先立って準備を始めておいても良いでしょう。
生活を守るための債務整理に向けて、一緒に考え、頑張っていきましょう！
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