任意整理、個人再生、自己破産…どれがいい? 債務整理の方法比較
今回は、再びAさんの債務整理にスポットライトを当ててみようと思います。
家族との平穏な日々を維持するため、債務整理を行うことを決心したAさん。
とはいえ、債務整理がなんぞや、というのが、実はAさんがしっかりと調べきれておらず、体系的に整理できていなかったので、今回、私と一緒に、債務整理について調べてみることにしました。
ということで、債務整理が何なのか、早速見ていきましょう!
はじめに
債務整理というのは、大きく
- 「任意整理」
- 「小規模個人再生」
- 「自己破産」
の3つに分かれます。
ただ、これら3つは、その位置づけや整理の手法、資産の維持などにおいて大きな違いがあるようです。そこで、これらを比較できるように、表にまとめてみることにしました。
債務整理比較表から最適な方針を考える
この表において、黄色くした箇所は、Aさんが特に関心をもったところです。
これを踏まえ、Aさんは判断のポイントを、大きく3点に絞りました。そしてこれは、いわば、Aさんが債務整理を行う上での基本方針にあたります。
【基本方針1】借金の返済額をできるだけ減らしたい
総額が1,000万円にもなってしまった借金。月々の返済が約26万円にも至っていましたが、これを減らすことができれば、Aさんの生活に安定感が増え、家族との平穏な日々を維持することができる…。
まずは、どれだけ借金の返済額を減らせるか。これが何より、一番大事なところでした。
【基本方針2】持ち家、車は維持したい
Aさんが家族と一緒に暮らしている家は、分譲マンションです。狭いながらも便利な場所にあり、満足しているとのこと。
Aさんが債務整理を決断した理由は、「家族との平穏な日々を維持すること」でしたので、そのためにどうしても家は残したいと考えていました。
また、仕事にプライベートにと大活躍している、Aさんの車も同様に、残せるものなら残したいという意向です。
なお、住宅ローンについては約2,000万円の残高がありましたが、車については、ちょうど、債務整理を行うタイミングでローンが終わっていました。
【基本方針3】家族、職場にはバレたくない
つまんない意地、プライドとの批判も生じてしまうのでしょうが、Aさんとしては、これまで仕事をしてきた職場に迷惑をかけたくない、これまでの仕事の実績を水泡に帰すような話はしたくない、そして家族にも変な心配をかけたくないという思いがありました。
そうしたことから、家族や職場にバレずに、秘密裏に債務整理を進めたい…というのも、Aさんの偽らざる本音だったといえるでしょう。
Aさんの最善は「個人再生」か
以上3点を踏まえ、債務整理の手法を検討します。
まず、「【基本方針1】借金の返済額をできるだけ減らしたい」で見ると、
「自己破産 > 個人再生 > 任意整理」
という順番で優先順位をつけることができます。
任意整理は、基本的に減額幅が利息分のみにとどまり、元金については借入額どおりに返すことが基本となるため、借金減額幅がそれほど大きくなく、債務整理という一大決心をした割には、その効果が限定的で、正直、あまり効果的な手法とは言えません。借金減額幅を優先するなら、「自己破産⇒個人再生」の順に検討すべきでしょう。
しかしながら、「【基本方針2】持ち家、車は維持したい」の視点で見ると、自己破産は住宅や家を失ってしまうため、選択肢としては外れてしまいます。
このため、財産を維持することができる個人再生が、有力な選択肢になってきます。自己破産ほどの借金減額効果はありませんが、それでも1,000万円が1/5になれば200万円まで減額され、かなりの効果が得られます。
ただ、「【基本方針3】家族、職場にはバレたくない」はどうなのか。この点については、慎重な検討が必要ですが、具体的な家族の事情、職場の事情などによって一概には言えないでしょうから、ここの判断はいったん保留することにします。
現時点での下調べの印象では、どうやら「個人再生」の方向で債務整理を進めることが妥当のようです。
ということで、Aさんはこれまでの自分なりの考え方の整理が合っているか、また判断をペンディングにした「家族・職場バレの回避」をどうするか、などについて、専門家と話し合う中で決めるべく、弁護士・司法書士の相談先を探すことにしたのでした。
【まとめ】借金減額と資産維持のバランスが良い小規模個人再生
このように、今回の記事では、債務整理の具体的な手法…すなわち「任意整理」「小規模個人再生」「自己破産」の3つについて、表形式でその概要をまとめるとともに、一連の事例で取り上げているAさんの場合は、どの手法がもっとも良いのかを検討してみました。
小規模個人再生は、借金が1/5に減額と、すべての負債を解消できる自己破産ほどの威力はない一方で、車などといった資産を維持できる上、住宅ローンが残っている状態であったとしても自宅を維持できるなど、ある程度の資産を有する人にとっては、非常に魅力的な手法です。
今後、弁護士・司法書士といった専門家への相談に進んでいくこととなりますが、単に漫然と専門家のところに行くのではなく、まずはこういった基礎知識をもとに自分なりに検討してから専門家と相談した方が、確実に良い結果が得られます。
当ブログの記事を参考にしていただきながら、皆さん、ぜひ、的確な債務整理を行ってくださいね!
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